こんにちは。なお整骨院院長、小野です。
今年も梅雨の季節になりました。
この季節になると、ある症状に悩まされる患者さんが多くなります・・・それは「頭痛」。
雨が降ると、または雨が降る前から起きる頭痛に悩まされ、梅雨の時期は頭痛薬が手放せないという方も。
頭痛薬が効かず横になるしかないという方もいらっしゃいます。
日本ではこのような症状のことを『気象病』または『天気痛』と呼び、最近医学界でもやっと研究が進んできました。
気象の変化によって頭痛が起こるメカニズム・予防法・対処法などの情報も増えてきました。
けどそもそもなんで、天気によって頭痛が起きる人と起きない人がいるの?
雨が降っても全く変わらず元気な人もいる・・・私もそうなりたい!と思いませんか?
このブログでは、解剖学・生理学に基づいた手技療法「オステオパシー」の観点から、
症状別に『気象病』の真の原因と治療法について解説いたします。
「気象病の原因って三半規管なんじゃないの?」とお思いの方。
いえいえ、三半規管だけではないんです!人によって原因は違うんです!
ぜひこのブログを読んでみてください。
そして、梅雨の後の台風季節が始まる前にぜひオステオパシーで『気象病』を解消しましょう!
天気が悪くなると起こる頭痛やめまい・・・『気象病』とは
『気象病』はどんな症状?
気象病・・・気象の変化によって症状が出現する、あるいは悪化する疾患の総称。
引用元:「気象病」ウィキペディア(Wikipedia)より
と定義されています。日本には四季があるので、季節特有の病気を「季節病」と呼ぶこともあります。
腰痛や神経痛のある方が天気の悪い日にそれらの症状が悪化したり、秋になって寒くなるとぜんそく発作をおこしやすいというように、天気や季節によって悪化したり引き起こされたりする病のことをいいます。
代表的な症状として広く知られているのは頭痛や関節痛、神経痛ですが、意外にも心臓病(心筋梗塞、狭心症など)、脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)等も冬に起きやすい病気として、他にも尿路結石、リウマチ、花粉症、寒暖差アレルギー、インフルエンザといったさまざまな病気が、気象の変化の影響を受けやすい病気として挙げられます。
なぜ気象は体に影響を与える?
私たちの生活はその日の「天気」の影響を大きく受けています。
例えば雨だと、野球やテニスなどの屋外スポーツは中止になりますし、大雪が降ってしまうと公共交通機関にも影響を及ぼし、予定が大きく狂うことも少なくありません。
同じように気温にも左右されます。寒すぎると外出する気もなくなってしまいますし、逆にぽかぽか陽気であれば、ちょっとした散歩でも楽しくなりますよね?
このように私たちは、天気の影響を受けて毎日普段の生活を送っているのですが、体調も同じです。
それは私たち人間が、「恒温動物(こうおんどうぶつ)」だからです。
夏でも冬でも、外の気温に関係なく、体温は36度前後ですよね?
人間は体内酵素の働きを維持するために、体温を一定に保たなければなりません。気温が激しく変動しても、自律神経を使って、体温を一定に保とうとするのです。
暑い夏は汗をいっぱいかいて体から熱を逃がすことで体温を一定に保ち、寒い冬は鳥肌を立てたり、血管をギュッと収縮させて、体から熱を逃がさないようにして、平熱を保っているのです。
また、気温だけではなく、気圧の変動にも身体は一定であろうとして反応します。
気圧とは、空気の重さによって押される力(圧力)のことです。私たちの体は常に約15トンもの圧力を外側から受けています。
これに対抗しなければ、体はぺしゃんこにつぶされてしまうので、外側からかかっている圧力と同じだけの力で、体の内側から押し返しています。
例えば気圧が下がると、耳の奥の方にある「内耳(ないじ)」の気圧センサーが作動し、脳に気圧が下がったことを伝達します。これにより自律神経にストレス反応が生じ、交感神経が優位になります。
交感神経を活性化させることで、ノルアドレナリンなどの神経伝達物質が放出され、血管が収縮して痛覚受容器の活動が高ぶるため、痛みに敏感になると考えられています。
通常、ほとんどの方はしばらくすると体で圧力を調整して、正常に戻ります。
しかし、天気の変化に弱い方は、この気温と気圧の変化に身体がついていかず、頭痛や関節痛などの症状に悩ませることになるのです。
頭痛がする ー頭痛と耳の関係
耳と腎臓
「天気が悪くなると頭痛がひどいんです」と言われると、私が必ず確認する場所があります。
それはズバリ「耳」です。
「耳と頭痛にどんな関係があるの?」と不思議に思われるかもしれませんが、実は耳と頭痛には深い繋がりがあります。
耳をみるといっても、耳の中や耳垢の状態をみるわけではありませんよ。(笑)
私がみるのは、患者さんの耳の形や状態。
耳やその周りにイボなどのできものがあったり、耳の形がいびつであったり、耳の形や大きさに左右差がある場合、「腎臓(じんぞう)」が弱っている可能性があるからなんです。
耳で腎臓の状態を表すなんてとても不思議ですよね?
でも、実際に腎臓の調子が悪かったり、生まれつき弱かったりすると、耳の形に現れます。
耳と腎臓の断面は非常に似た形状をしていて、耳の部分は腎臓を、耳の穴の前にある小さなでっぱりの耳珠(じじゅ)は副腎を表すとされています。
頭痛は脳のむくみ
ではなぜ、お天気頭痛に腎臓が関係してくるのでしょうか?
それにはまず、低気圧になると起こる頭痛の仕組みから説明していきます。
実は、低気圧による頭痛は脳の腫れ、「浮腫み(むくみ)」によって起こります。
よく夕方になると足がパンパンに腫れてむくんだり、朝、顔が腫れぼったくなったりすることありませんか?
これがよく聞く「むくみ」という症状なんですが、脳にも同じような症状が起こります。
足も顔もむくむのに、脳のむくみはどうして痛みを伴なってしまうのでしょうか?
それは、脳がヘルメットのような固い頭蓋骨に覆われているからなんです。
足にも顔にももちろん骨がありますが、脳のように全てを覆っているわけではありません。
足や顔、頭以外の場所が腫れても皮膚がのびてしまうだけですが、脳がパンパンに腫れてしまうと固い頭蓋骨がヘルメットのように覆っているおかげで、水分の逃げ場がなくなってしまい、神経を圧迫し、痛みを起こしてしまうのです。
むくみの正体と腎臓の働き
私たちの体は全身、縦横無尽に血管が張り巡らされています。
血管はホースの様に固くてしっかりしているイメージですが、実はちょっと違います。
実際の血管は、網目の構造でイメージしてもらうと分かりやすいかと思いますが、網の間から少しずつ水分が染み出しています。水分が染み出して大丈夫??と思われるかもしれませんが、この働きによって血管は全身にくまなく栄養を生き渡らせているのです。
天気が悪くなると気圧が下がり、私たちの体を押さえつける力も弱まります。
すると全身の血管は広がり、そこからさらに水分が染み出しやすくなります。
でもこの染み出す水分量、多すぎても少なすぎてもダメなんです。
この染み出た水分はリンパ管から、静脈、心臓の順に吸収されます。しかし、あまりに染み出た水分が多く、リンパ管から吸収できる量を超えてしまうと、それら水分は行き場を失い「むくみ」として目で見てとれるようになります。
この水分量を調節しているの器官の一つが「腎臓」です。
通常、この腎臓の働きによって水分量が調節され、天気が悪くなっても脳がむくむことなく、頭痛はおこりません。
しかし腎臓の調子が悪かったり、疾患があると、この血管の水分量の調節がうまくいかず、脳がむくみ、頭痛を引き起こしてしまうのです。
オステオパシーにおける治療法
オステオパシーでは、気圧の変化で起こる頭痛の場合「腎臓」を治療します。
腎臓は臓器のなかでも位置がずれやすい臓器なので、正しい位置に戻してあげることで正常な働きをします。
また、気圧が下がると、血管が膨張し血の巡りが悪くなります。
腎臓の働きの一つに、「血液をろ過し、成分を調整し、尿をつくる」という仕事があります。しかし、血流が滞ると、尿が作れなくなってしまいます。
腎臓の血流をよくすることで、血液の成分の調整がスムーズに行われるようにします。
このように腎臓の働きを正常にもどしてあげることで、脳のむくみもなくなり、天気の影響で頭痛が起きない身体になっていきます。
関節が痛い
患者さんの中にも、「天気が悪いと関節が痛くなります」と、長年この関節痛に悩まれている方がよく来院されます。
天気がいいと痛みはないのに、気象の悪化によって突如出現する痛み。
しかし、全ての方が気象の変化によって関節痛を引き起こすわけではありません。
では、痛みが出る人と出ない人の違いは何なのでしょうか?
過去の古傷
実は、痛みが出るのは「過去に骨折や捻挫や打撲を経験している」方なんです。
その負傷は、3ヵ月前のことかもしれなし、5年10年前の可能性もあります。高齢の方なら、50年前のことでも現在の体に影響を及ぼしています。
よく「天気が悪いと古傷が痛む」といいますよね?まさにこの通りです。
骨折や捻挫は外から何らかの衝撃を受け、骨や関節が捻じれることで起こります。
この時、適切な治療で元のとおりに戻れば問題はないのですが、あまり痛みがなかったり、多忙を理由にきちんと治療を行わず、そのままの状態で放っておいてしまうと、変形したまま関節が固まってしまうことになります。
では、この変形したまま固まってしまった関節が、気温や気圧の変化とどう関係しているのでしょうか?
気温や気圧低下で関節が痛くなるのはなぜ?
気温や気圧の変化で体の中では何が起こっているのか?
「気温の変化」と「気圧の変化」で痛みが起きるメカニズムはそれぞれ異なります。
・気温が低下したとき
気温が下がると、人は平熱を保つため体の中で熱を作り出します。
するとカロリーが消費されるので、もし十分な栄養が蓄えられていなければ、体の免疫機能は低下します。免疫機能が低下すると、体内の細菌やウィルスが増殖します。
過去に怪我をして関節や神経の周囲に潜んでいたウィルスなどが増殖すると、関節や神経に炎症反応が波及するようになります。
その結果、関節痛が引き起こされることになるのです。
・気圧が低下したとき
「気圧が下がると、空気が膨張する」
中学生の理科で習ったのを覚えていますか?
例えば、飛行機に乗ったときや高い山に登った時、上空に行くとポテトチップスの袋がパンパンに膨れ上がるのを見たことがある方も多いと思います。
これは高いとことに行くと気圧が低い、つまり袋を外から押す空気の圧力が小さくなります。空気は周りから押されると縮み、押す力が弱いとふくらみます。
だから、お菓子の袋に入っている空気の量は変化しませんが、お菓子の袋が膨らむのです。
実はこれと同じことが体の中でも起こっているのです。
私たちの関節は「関節包(かんせつほう)」と呼ばれる袋で骨と骨を繋いでいます。
この関節包の中には関節液という水分で満たされ、これらのおかげで関節はスムーズに動き、硬い骨同士がぶつかっても、痛みが出ないように働いています。
しかし、気圧が下がるとどうなるかというと、この関節包がさっきのポテトチップスの袋のように膨れあがります。
この時、変形し癒着したままの関節の場合、気圧が下がっても関節包が上手に膨らまず関節痛を引き起こしてしまうのです。
オステオパシーにおける治療法
数年前や十数年前の過去の小さな捻挫を覚えている人は多くありません。 最近、美容やヘルスケア業界で注目を集め始めている『ファシア(Fascia)』。ご存知ですか? NHKの美容特集番組では「ファシアをケアすることが、美しい身体を手に入れるカギ」と取り上げられ、メディアで ...
しかし私たちの全身を覆っている「膜(ファシア)」の機能の一つに「記憶する」というものがあります。
筋膜だけじゃない!ファシアの機能と役割を詳しく解説
この膜は過去に受けた外圧(外からの衝撃など)をきちんと取り除いてあげないと、そのまま忘れることなく現在の体へと影響を及ぼしてしまいます。
つまり、あなたが受けた過去の捻挫や骨折も、この膜に負荷がかかったままの状態なのです。
まずは、その膜にかかっている過去の負荷を取り除いてあげます。
膜の負荷を取り除くと、固まった関節が自然と正常な位置に戻ることができます。
関節が正常な位置にもどると、関節包の働きももどり、天気によって関節痛が引き起こされることはなくなります。また免疫機能が十分に働くようになり、ウイルス等の増殖を防ぎます。
真の原因を治療するオステオパシー
当院ではオステオパシーという施術で、これらの痛みを改善していきます。
オステオパシーとは聞きなれない言葉かもしれませんが、その歴史は古く、19世紀のアメリカ発祥の治療法です。
手技のみの痛みのない施術で、赤ちゃんから高齢の方まで安心して受けていただけます。
また、オステオパシーは「痛いところを治療する」という今までの治療法とは全くちがいます。
この気象病の原因が腎臓や過去の捻挫にあったように、痛みの原因の多くが別の場所から来ているからです。
他の症状でも同じです。
本当の原因を探し出し治療することで、痛みをくり返さない身体をつくります。
このような内臓や血管を調整するのは危険では?と思う方もおられるでしょうが、オステオパシーの治療は、身体の中の様々な部位を力ずくで調整するわけではありません。 最近、美容やヘルスケア業界で注目を集め始めている『ファシア(Fascia)』。ご存知ですか? NHKの美容特集番組では「ファシアをケアすることが、美しい身体を手に入れるカギ」と取り上げられ、メディアで ...
解剖学・生理学的知識をもとに人の体を覆っている「膜(ファシア)」を動かしているのです。
筋膜だけじゃない!ファシアの機能と役割を詳しく解説
この膜の歪みを調整することで、体の不調を改善に向かわせます。
「天気が相手だと、体の具合が悪くなっても防ぎようがない」とあきらめずに、どんな天気でも、どんな気圧でも対応できる体づくりをしていきましょう。
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