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ファシア

筋膜だけじゃない!ファシアの機能と役割を詳しく解説

全身を検査するオステオパシー

最近、美容やヘルスケア業界で注目を集め始めている『ファシア(Fascia)』。ご存知ですか?
NHKの美容特集番組では「ファシアをケアすることが、美しい身体を手に入れるカギ」と取り上げられ、メディアでも話題のテーマです。
そして、ファシアは美しさだけではなく、健康な体を手に入れるためにもとても重要な組織なんです。

19世紀にアメリカで誕生した手技療法「オステオパシー(Osteopathy)」は、この『ファシア』、つまり、人体を覆う膜に着目した療法。
全身のファシア(膜)の状態を検査し、臓器と共に正常な状態に調節することで、様々な身体の不調を改善に向かわせることを目的としています。

日本ではまだ数少ないオステオパシー専門の治療院「なお整骨院」の院長が、オステオパシーの観点から、ファシアとは何か?ファシアの機能と役割について、詳しく解説いたします。

ファシアとは?

「私たちの体をつくっているものは?」と聞かれて、何を思い浮かべますか?
肺や心臓などの臓器?骨、血管、筋肉?神経やリンパを想像する人もいるでしょう。
このように、私たちの体はとてもたくさんの器官・組織で構成されています。

『ファシア』は、これら全ての構成要素を、それぞれ覆っている膜のことを言います。
筋肉を覆っているのは筋膜、骨を覆っているのは骨膜、心臓を覆っているのは心膜といった感じで全ての器官は膜で覆われているのです。
それぞれ働きは違いますが、これらを広く含めて『ファシア(Fascia)』という呼び方をします。
そして、これらの膜はすべて、頭の先から足の先まで大きい一枚の布のように繋がっており、体の構成要素を繋げる役目を担っています。

ファシア 筋膜の構造
人の体は、器官それぞれがバラバラに存在しているのではなく、『ファシア』という つなぎ役のおかげで一つになっているのです。
つまり、人が人の形をしていられるのは、すべてはこの膜『ファシア』のおかげなのです。

この非常に重要な役割を担っているファシア、最近は医療の現場でも、さまざまな体の不調を解消するためにファシアをケアすることが有効であると、その可能性に注目が集まっています。
これからは、ファシアを知り、ケアしていくことが健康な体へと導くために不可欠と言えるでしょう。

 

ファシアの機能と役割

ファシアは人体の器官のつなぎ役だけではなく、他にもたくさんの役割を持っています。
それはファシアの構造と関係しています。

「ファシア=膜」というと卵の薄皮のようなものをイメージされるかもしれません。
しかし実際は、蜘蛛の巣のような立体的な編み目構造をしています。
この蜘蛛の巣のような繊維状の集合体が、その密度を変えることにより、体内で様々な役割を果たしています。

ファシアは蜘蛛の巣のような立体的な編み目構造

ファシアは蜘蛛の巣のような立体的な編み目構造

繊維の密度が低ければ柔軟性のある組織(筋膜などの筋繊維)となり、密度が高ければ強固な組織(骨や軟骨のような支持組織)となります。

例えば、骨周りのファシアに関して言うと、密度が低い筋膜から、密度を増して靭帯組織となり、さらに密度を増して骨膜となり、骨内にシャーピー繊維として入り、骨の梁(はり)として働きます。
そして長管骨(ちょうかんこつ)の空洞に達し、また密度を低く柔らかくし、骨髄の元となっていくのです。

骨の構造

ファシアは体内の器官や組織のつなぎ目にだけ存在しているのではなく、密度を変えてその構造自体となり、場所により靭帯であったり、骨であったりとファシア自体が器官として働いているのです。

このように存在するすべての場所で密度・形を変え、その機能・役割を変えるファシア。
ファシアが持つ役割は、主に以下の6つに分けられます。

 

ファシアの役割 その1 ~体の組織構造を安定させる

前述の通り、ファシアは全身をくまなく縦横無尽に覆っている膜です。
ファシアの中でも特に筋肉を覆っている筋膜は、体の組織構造を安定させる役割があり、「第2の骨格」と呼ばれています。
この「第2の骨格」筋膜というファシアがなければ、人は歩くことはもちろん、重力を受けて姿勢を保ち立つこともできないでしょう。
しかし「膜が構造を安定させる」とは一体どういうことでしょうか?

「テンセグリティ」という言葉を聞いたことがありますか?

テンセグリティ(tensegrity)とは、バックミンスター・フラーにより提唱された概念で、Tension(張力)とIntegrity(統合)の造語。
(中略)
テンセグリティは工学においては直線部材のピン接合からなる構造システムのうち、圧縮材が互いに接続されておらず、張力材とのバランスによって成立しているような構造システムである。張力材は互いに接続されていてもよく、3次元構造の場合、圧縮材の両端には3本以上の張力材が少なくとも接続されていなければならない。

引用元:「テンセグリティ」フリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」より

テンセグリティ

テンセグリティ

このテンセグリティ、実は人体の構造と非常に似たところがあります。

画像をみてください。各棒には伸び縮みするゴムが付いています。
テンセグリティは、複数の棒が接触することなく、ゴムによって繋がっています。
ゴムがバランスよく相互に引っ張りあい、安定した張力をもって立体的な構造を作ることができるのです。

テンセグリティを人体に例えると、棒は「骨」、ゴムは「筋膜(ファシア)」。
人体もテンセグリティのように、ファシアの張力によって安定した構造を保っているのです。
テンセグリティのゴムを引っ張ると棒が動き「伸びる部分」と「圧縮される部分」が出てきます。
人体も同じです。体の一部を動かすと、動かした部位だけでなく、体全体が連動して動くことが解っていただけると思います。

構造体として安定するだけではありません。
ただ要素を積み上げて接着しただけの構造体より、衝撃を受け止める(分散させる)ことができます。
もし人間が、積み上げただけのレンガの家のような構造だったら、歩く際に受ける上下からの衝撃をうまく分散することができず、一番下のレンガ・足の骨を損傷してしまうでしょう。
人体の構造の安定と衝撃の分散、ファシアの張力のおかげで成り立っているのです。

ちなみに、ファシアはコラーゲンとエラスティンというタンパク質で構成されています。
コラーゲンは強い性質を持ち、皮のベルトのように強度があり、筋膜の形を保持するのを助けます。エラスティンは伸縮性にすぐれており、筋膜を柔軟にします。
このように、強く、柔軟で伸び縮みするファシアに覆われていることで、人間の身体はスムーズに運動したり、意識しなくても姿勢を保つことが出来るのです。

 

ファシアの役割 その2 ~滑ることで動きのバランスをとる

ファシアは何重もの重なりでできており、ミルフィーユ構造になっています。
それらはお互いに滑りあっているために、外と中の組織が干渉しすぎないようになっています。
例えば、肩を動かすときには僧帽筋(そうぼうきん)と菱形筋(りょうけいきん)という隣り合う筋肉を使いますが、この二つの筋肉はそれぞれ別々の動きをしています。

隣り合う二つの筋肉が異なる方向へ動くことができるのは、その間にあるファシアがスムーズに「滑っている」から。
ファシアのおかげで、筋肉・体はバランスよく自在に動き、また元の位置に戻ることができます。

筋肉を包むファシアが癒着すると筋肉は動きづらくなる

しかし、この滑りが悪くなるとどうなると思いますか?
筋肉は動きづらく、正しい動きに繋がらなず、柔軟な動きが出来ません。
このファシア・筋肉の固着が肩こりや腰痛の一因となっているのです。

 

ファシアの役割 その3 ~筋肉や臓器をぶら下げ、定位置を保つ

私たちの心臓や腎臓、身体のすべての臓器は位置が決まっています。
いくら身体を曲げても、ジャンプしても心臓の位置がずれたり、肝臓とすい臓の位置が入れ替わったりはしませんよね?
それはどうしてかというと??
全ての臓器がファシアで覆われていて、人がどんなに自由に動いても臓器を定位置に保ってくれるからなんです。臓器の位置は決まっていて当たり前!と思いがちですが、きちんとファシアが機能してくれているおかげで定位置に収まることができています。

 

ファシアの役割 その4 ~臓器・組織の保護と栄養の供給

臓器や組織の内外を包み込んで、他からの外力や毒物・ウィルスなどの侵襲を防ぎます。
また、包み込んだファシアからの豊富な血管組織によって、臓器や組織へ栄養を供給します。

 

ファシアの役割 その5 ~衝撃の吸収・緩衝

物理的な衝撃を吸収・緩衝

車に乗っていて、座っていられないくらいお尻が痛いと感じることはないですよね?
いくらでこぼこ道を走っても、シートに座っていられるくらいには衝撃から守ってくれます。
それは車にショックアブソーバーという装置が搭載されているからなんです。

ショックアブソーバー (Shock absorber) とは、振動する機械構造や建築物の振動を減衰する装置である。

引用元:「ショックアブソーバー」フリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」より

バイクのサスペンション

ショックアブソーバーは、強い衝撃を受け縮んでしまったサスペンションのばね部分が、反動で伸びて元に戻ろうとする強い力を制御する装置です。反動を制御し、ばねの変形による振動を収束させることで、車の安定性が高まります。

実は、人間の体にも、このショックアブソーバーがあります。
それは、体の中で縦横無尽に張り巡らし、器官や組織を支える機能を持ったファシアです。
強い衝撃を吸収し、衝撃による反動を最小限に抑えるショックアブソーバーのファシアがなければ、地球の重力を受けて生活している私たちの体を、動くたびに衝撃とその反動が全身を貫いてしまいます。
このファシアの働きによって、人体にとって最も重要な器官である頭蓋(脳)への衝撃も緩衝しています。
もし、何らかの理由でこの機能が不全になれば、脳に大きなダメージを受けることとなり、人は正常な機能を失ってしまいます。

 

感情的な衝撃(ショック)を吸収・緩衝

そして、上記のような物理的な衝撃だけではなく、感情的なショックもファシアは受け止め、吸収する働きを持っています。
よく「カラダとココロは繋がっている」といいますよね?
人はストレスによって胃が痛くなり、緊張するとお腹が痛くなり、怒りで血圧が上がる。
これは感情によって、身体に影響を及ぼしている一例です。
このような感情もファシアは受け止める働きを持っています。

失恋

例えば、大好きな人から別れを告げられる。
物理的な衝撃はありませんが、感情的なショックは計り知れません。
このショックな感情を受けたとき、ファシアは縮まり、この感情を吸収し緩衝しています。

「え?ファシアが感情を吸収する!?」
とても不思議ですよね?
しかし、このようなファシアの働きがないと、感情的ショックを臓器だけで受けることになり、臓器にとっては正常機能を保つことも危うくなる可能性があるのです。
ファシアはショックによる臓器への影響を最小限に抑えるために機能します。
恐怖や緊張や悲しみ、私たちは感情的にも様々な脅威にさらされています。
でもこうやって何とか生きているのは、ファシアがこのような感情のダメージから体を守ってくれているからなんです。
本当に人間の身体はよく出来ています。

当院で行っている、ファシアを重点的にケアするオステオパシー治療では、施術者はファシアが過去に受けたショックが、物理的なものか、感情的なものか、その違いがわかります。
感情的ショックを吸収して縮んでしまったファシアに施術者が手技を施すと、感情的ショック=トラウマが再現されるのです。
そして、施術者は縮こまってしまった膜を元に戻し、このトラウマを解放してあげることで、身体が持つ本来の機能を蘇らせているのです。

 

ファシアの役割 その6 ~情報を記憶する

滑り台

若いころ、交通事故にあって胸を強打した。
学生の時、野球で肘を痛めた。
もっと小さいころ、滑り台で転んで足を捻挫した。
そして、当人さえも覚えていない出生時、へその緒が体に巻き付いていた。
誰にでもあるような身体の歴史。
この一つ一つの傷全てを、ファシアは記憶しています。

脳 記憶

「記憶する」と聞いてまず思い浮かべるのは、脳にある記憶のことでしょう。
確かに、人間の行動や経験、特に意識的なものは脳で記憶されます。
では、ファシアが記憶するものとは一体何なのでしょうか?
それは、体が負った外傷、悲しい・ショックなどの感情的なもの、親やもっと前の世代から引き継いだ遺伝的情報(エピジェネティクス)等の無意識的な記憶です。
このような様々な種類の無意識的な記憶を、人はファシアの中に保持しているのです。
臓器移植を受けた人が、その提供者の感情や記憶を引き継いでしまうケースがあるのは有名な話ですよね。

 

外傷の記憶

腕 骨折
ファシアに手技を施すオステオパシー治療において、ファシアの持つ外傷の記憶はとても重要な要素になります。
なぜなら、何らかの身体の不調を解消しようとするとき、この過去の外傷の記憶が、人体が本来持つ自然治癒力を十分に働かせることを邪魔してしまうからです。
それは負った傷の古さや、傷の大小とは全く関係ありません。
施術者は、このファシアの外傷の記憶を辿っていくことで、体のどの場所が不調の真の原因となっているかを知ることが出来ます。

 

身体の情報

人体模型 粘土
そしてもう一つ大切な記憶が、体すべての情報です。
腎臓や心臓など、それぞれの臓器がどこに並んでいるか?大きさはどれくらいか?形はどうなっているか?
このような体を構成する上で必要な情報すべてを、ファシアを作っている細胞一つ一つが記憶しているのです。

わかりやすく言うと、クラス全員がクラスメイト一人一人の顔・名前・身長・体重・住所・成績・生い立ち・家族構成を把握しているようなものです。

身体は、毎日 新陳代謝することで細胞が生まれ変わっています。
それなのに、必ずその場所に同じ細胞が生まれて、その役割がバトンタッチされます。
増えすぎたり、大きくなりすぎたりせず、必ず同じ大きさで同じ形の細胞が生まれます。

これもすべて、ファシアというクラスメイト一人一人が隣の人の情報を記憶しているからです。新陳代謝で新しい細胞が出来ても、隣りの細胞の記憶のおかげで、前と同じ位置に同じ細胞が生まれます。
手術で肝臓を半分失っても再生されるのは、切除された部分の隣の細胞が、その先の肝臓の形などをすべて記憶しているからです。
このように、細胞一つ一つの膜組織は身体のすべての情報を持っており、頭のてっぺんから足の先まで全部の細胞が同じ記憶を共有しています。

 

オステオパシーとファシア

人間の身体にとって『ファシア』は非常に重要な機能・役割を担う組織であることを理解していただけたと思います。
今まではあまり関心を集める組織ではありませんでしたが、昨今 日本国内でも、人の身体の不調を解消するために重要な役割を果たしていると注目を集め始めています。

19世紀にアメリカの医師 アンドリュー・テイラー・スティル (Andrew Taylor Still)によって提唱され、現在はアメリカ・ヨーロッパを中心に広く普及している手技療法「オステオパシー(Osteopathy)」。オステオパシーでは、膜(ファシア)を解剖学的・生物学的に重要な人体の組織の一つと捉え、適切にケアすることを重視しています。

A.T.Still

アンドリュー・テイラー・スティル

当院のオステオパシー施術では、このファシアを触り、臓器や骨を正しい位置の戻す施術を行います。
「え?ファシアは触れるの?」と思われますよね?
厳密に言うと、実際にファシアを触るわけではないんですが、身体に触れることでファシアの動きを手で感じています。

施術者が身体に触れ、全身のファシアの動きを知ることで、歪みや負荷がかかっているファシアを見つけることができます。そこが身体の不調の本当の原因です。
実際に不調や痛みが出ている場所とは違うかもしれません。(ほとんどの場合違います)
例えば、頭痛の原因が過去の足首の捻挫であったり、肩こりの原因が歯の矯正の影響であったり、腰痛の原因が過去の帝王切開だったりします。
そのファシアの歪みを調整し、臓器を正しい位置に戻してあげることで、身体の不調を改善に向かわせます。

もし、何年も治療を続けているのに思うような効果が出ていなかったり、原因不明の痛みがあるという方、一度オステオパシーで自分のファシアの状態を知り、根本原因からその不調・痛みを解消することをお勧めします。

なお整骨院は、福岡県内でも数少ないオステオパシー専門の治療院です。
長年の不調を改善したい、真の原因から解消したい方が、県外からも多数いらっっしゃいます。ファシアケアに興味のある方もぜひご来院ください。きっと思いがけない身体の記憶に驚かれることでしょう。

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なお整骨院院長 小野 正博(おの なおひろ)

柔道整復師 大牟田市出身
福岡柔道整復専門学校(現 福岡医療専門学校)卒
2007年福岡県みやま市に「なお整骨院」開業

JOPA(日本オステオパシープロフェッショナル協会)にて約1500時間以上のセミナーを受講し、オステオパシーの技術を習得。
以降もフルクラムオステオパシーにて約500時間以上のセミナー受講、JSC(日本カイロプラクテック師協会)やハーモニーセラピーなど、オステオパスとして日々研鑽を重ね、さらなる技術向上に取り組んでいる。
2011年から7年間、誠修高校女子バレーボール部トレーナーを務める。
趣味は釣りとサーフィン。少林寺拳法(二段)。家族は妻と娘2人。
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