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産後

その頭痛や腰痛、帝王切開が原因かも?必要なのは術後ケア

その頭痛や腰痛、帝王切開が原因かも?必要なのは術後ケア

こんにちは、なお整骨院の院長 小野です。

前回のブログでは、帝王切開の傷跡の痛み・かゆみのお悩みについて解説しました。
この傷跡の痛み・かゆみは、お母さんご本人も「帝王切開が原因」と自覚されている症状の1つです。

しかし、傷跡の痛み・かゆみ以外にも実は「帝王切開が原因」で起きやすい体の不調があります。この場合、お母さんご本人も「帝王切開が原因」とは自覚できていないことがほとんどです。
このブログでは、ご本人も気づいていないことが多い「帝王切開が原因」の体の不調について解説いたします。

 

帝王切開が原因??- 産後の頭痛

実は、帝王切開後に頭痛を訴えられる方は多くいらっしゃいます。
しかし、その頭痛が帝王切開が原因だと結び付けられる方はほとんどいらっしゃいません。
子宮の痛みや術後の傷の痛みは帝王切開が原因だと考えやすいですが、頭痛は「産後、体質が変わったかな」「育児疲れかな」程度と思いがちなようです。
当院での検査の結果、「頭痛の原因は帝王切開」とお伝えすると、「頭痛と帝王切開に何の関係があるの?」と多くの方が驚かれます。

産後の頭痛

では、帝王切開と頭痛にはどのような繋がりがあるのでしょうか。
「癒着(ゆちゃく)」という言葉を聞かれたことがありますか?
「癒着」とは手術によって切った組織を縫合する際に、本来くっついてはいけない離れて分かれている臓器や組織が、くっついてしまうことをいいます。切った部分が治ろうとするときに近接した組織を巻き込みながら再生していくために起きてしまうのです。
実は、開腹手術をすると程度の差はありますが、その約90%で癒着が起きるといわれています。もちろん帝王切開でも多かれ少なかれ癒着は起きていると考えられます。

この癒着の場所や程度が悪いと、臓器を覆っている膜どうしがっくっついてしまい、周囲の臓器の動きを制限してしまうことがあります。さらに癒着がひどいと、それら臓器の体内での位置を変える程の影響を与えます。
臓器や器官には本来それぞれ決まった場所があり、その場所にあることで100%の仕事ができるのに、癒着によって違う場所に引っ張られてしまうと、力が発揮できなくなり、十分に機能できなくなってしまいます。

帝王切開の場合によくみられる癒着は、「腹膜(ふくまく)」というお腹の膜の癒着。腹膜に癒着が起きてしまうと、腹膜と接している骨盤の中心にある「仙骨(せんこつ)に影響が及んでしまいます。

腹膜と接している骨盤の中心にある仙骨

 

この「仙骨」が頭痛に大きく関係しています。
仙骨は腰の下にある骨。一見頭からは遠い場所にありますが、実は「硬膜(こうまく)」という膜によって頭蓋骨と繋がっているのです。硬膜は脳と脊髄を覆い守る重要な膜。頭の部分では、頭蓋骨と脳の間に接着し、下へ続いて脊髄を覆い、最下部で仙骨がぶら下がっています。

硬膜

この硬膜は、頭蓋骨の動きに同調してある一定のリズムで動いています。
頭蓋骨が動けば、硬膜を通じて仙骨も動き、仙骨が動けば頭蓋骨も動く、というようにリズムよく連動しているのです。
しかし、腹膜の癒着により仙骨の動きが制限されてしまうと、連動していた頭蓋骨と仙骨のリズムは崩れ、硬膜がスムーズに動かなくなってしまいます。
身体の軸となっている硬膜が正常に動かなくなってしまうと、脳を包む硬膜(脳硬膜)に歪みが発生したり、硬膜の中にある静脈や神経を圧迫するなどして頭痛が起こってしまうのです。

 

帝王切開が原因??- 腰・ひざ・股関節の痛み

産後の腰や股関節、ひざの痛みの多くは「骨盤のズレ」からきています。
「帝王切開では骨盤がゆるまない」と思ってらっしゃる方も多いですが、実は違います。
骨盤はお腹が大きくなるとともに、少しずつ骨盤が開き出産をする準備をします。
帝王切開だからといって、骨盤が開かないわけではありません。
そして産後1か月ほどで、緩んだ骨盤が元に戻るとともに、その周辺にある骨盤底筋群や靭帯の一部も正常な位置に戻っていきます。
しかし、妊娠や出産で負担がかかり弱ってしまった骨盤底筋群のゆるみが戻らない方もいらっしゃいます。これが、骨盤のねじれの原因になってしまいます。

さらに帝王切開の場合は、骨盤のねじれを引き起こすもう1つの原因として「腹膜の癒着」も考えられます。

子宮は骨盤の中に位置し骨盤に接する靭帯にぶら下がっています。
術後に腹膜が癒着してしまうと、近接する子宮を引っ張り、靭帯を通して骨盤を歪ませてしまいます。

仙骨子宮靭帯 基靭帯

骨盤は体の中心にあり、上半身と下半身を繋いでいるとても大切な土台です。
この土台となる骨盤のゆがみやねじれによって、骨盤にくっついている筋肉や靱帯の前後左右のバランスが崩れることで、腰の痛みの原因になります。
また、バランスが崩れることでどちらか一方に重心が偏ってしまい、片方のひざや股関節に負担をかけ続けてしまい、やがて痛みがでてくるのです。

 

オステオパシーにおける治療法

私たちの体は、臓器や骨、血管、筋肉すべての器官を「ファシア」と呼ばれる膜で覆われています。これらの膜はすべて、頭の先から足の先まで大きい一枚の布のように繋がっています。そして何層にも重なっている膜は、それぞれが柔軟に滑ることで、筋肉や骨がスムーズに動き、また元の位置に戻ることを助けます。

筋肉を包むファシアが癒着すると筋肉は動きづらくなる

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例えば、皮膚の下にピタッとしたボディースーツを着ているのを想像してみて下さい。体にフィットして、伸び縮みも自由にできるタイツは、動きもスムーズで窮屈に感じることはありません。

ファシア 筋膜の構造
しかし、手術によって切った部分を縫い合わせている状態だったらどうですか?
縫っている部分が、別の部分を巻き込んでいたりしたら、さらに動きにくくなってしまいます。これが癒着です。
オステオパシーでは、手術の傷から癒着している部位をたどり、層と層がくっついてしまった部分を引きはがし、柔軟に滑るようにしていきます。
癒着の影響が取り去られれば、それによって動きが制限されていた骨や関節、内臓なども本来の動きを取り戻すことができ、癒着由来の骨盤・体の歪みや硬膜・頭蓋のリズムも正常化され、体の不調は解消されていきます。

癒着を取り除くと言っても、傷を押したり揉んだり、強い圧をかけたりと痛みが出るような施術は行いませんので、安心してください。
オステオパシーは生後1週間の赤ちゃんからご高齢の方、妊婦さんも安心して受けられる痛みのない優しい施術が特徴です。

妊婦さんも安心

 

帝王切開の術後ケアはオステオパシーがおすすめ

当院には帝王切開をされた多くの患者さまが来院されます。
もちろん前のブログに挙げたような、帝王切開後の傷や子宮の痛みを訴えられ、術後ケアを希望される方もたくさんいらっしゃいます。
しかし、別の痛みで来られて当院で検査してみると、痛みの原因が帝王切開だったと発覚するパターンが、実は半数以上なんです。
つまり、体の痛みを帝王切開が原因とは考えておられない方がほとんどです。
数か月以内の帝王切開ならまだしも、何年も経っていれば「そんな昔のことが...」と思われるのは当然かもしれません。
しかし、術後の違和感をそのままにしておくと、頭痛や肩や腰の痛みなど様々な部分へ影響を与えてしまいます。
癒着も術後すぐならはがしやすいですが、時間がたてば経つほど、強固になり引きはがすのに時間がかかります。

帝王切開に限らず、産後は母体のケアがとても大切です。
妊娠期間は約10か月、赤ちゃんの成長とともに子宮もだんだんと大きくなり、子宮に隣接する胃や腸などの内臓が上へが押し上げられます。

産後、通常は子宮とともに押し上げられた臓器も元の位置に戻るのですが、なかには臓器が正しい位置に戻らないことで、肩こりや腰痛、倦怠感、吐き気などの不調の原因になることがあります。

胎児の成長とともに子宮が増大し内臓を押し上げる
産後はただでさえ環境の変化が大きく、心も体を疲れやすい時期です。
無理をせず、適切なケアで、赤ちゃんとの時間を心から楽しんでほしいと思います。

当院は赤ちゃんを連れての施術が可能です。お母さんの施術中はスタッフがお世話させていただいております。ご予約時にお申し出ください。

お子様のお世話

また、これから出産を迎える妊婦さん、計画帝王切開を控えている妊婦さんのご相談も受け付けています。不安をすこしでも払拭し、お産が心から喜べるものにしていくためのお手伝いもしていますので、お気軽にご相談ください。

 
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なお整骨院院長 小野 正博(おの なおひろ)

柔道整復師 大牟田市出身
福岡柔道整復専門学校(現 福岡医療専門学校)卒
2007年福岡県みやま市に「なお整骨院」開業

JOPA(日本オステオパシープロフェッショナル協会)にて約1500時間以上のセミナーを受講し、オステオパシーの技術を習得。
以降もフルクラムオステオパシーにて約500時間以上のセミナー受講、JSC(日本カイロプラクテック師協会)やハーモニーセラピーなど、オステオパスとして日々研鑽を重ね、さらなる技術向上に取り組んでいる。
2011年から7年間、誠修高校女子バレーボール部トレーナーを務める。
趣味は釣りとサーフィン。少林寺拳法(二段)。家族は妻と娘2人。
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