今や国民の大半が悩まされている「肩こり」。少しでも楽になりたいとマッサージや整体を受けてもすぐに元通り。最近は、この肩こりに『筋膜』が関係していると注目され、肩こり解消のための筋膜ケア方法や筋膜リリースローラーなど、いろいろなメディアでセルフケア方法やグッズが紹介されています。
けどちょっと待ってください。本当に筋膜をケアするだけで、すべての肩こりが解消されるのでしょうか?
答えは、ノー。正しくは、筋膜をケアすることで楽になる肩こりがある一方で、筋膜ケアだけでは解消されない肩こりもあるんです。
筋膜だけでなく、骨膜・腹膜など体の『膜』に着目して身体の不調を整える手技療法「オステオパシー」の治療院である なお整骨院院長が、筋膜と肩こりの関係、自宅でできる筋膜セルフケア方法について解説いたします。
筋膜とは?
そもそも筋膜とは?
筋膜は全身をくまなく縦横無尽に覆っている膜です。
主に筋膜とは、皮膚の下の皮下組織にある浅筋膜(せんきんまく)と、筋肉の上をボディスーツのように覆っている深筋膜(しんきんまく)、筋肉表面の薄い筋外膜(きんがいまく)、筋外膜が筋肉の中に入り込んで筋の束を包む筋周膜(きんしゅうまく)、筋周膜が筋の束の中に入り込んで筋線維一本一本を包む筋内膜(きんないまく)の5つを指します。
特に深筋膜は3層構造になっていて、各層の間に真綿のような結合組織と、水分を保持し粘性を持つヒアルロン酸があることで、体のさまざまな動きに合わせて各層が繋がりつつも、それぞれの方向へ自由に動くことができます。
この結合組織とヒアルロン酸のおかげで、それぞれの筋膜が滑らかに動くことができ、さらに隣り合う筋肉同士に摩擦が起こらないようにその運動を助けています。
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肩周りの筋肉を包む筋膜
肩からぶら下がった重い腕を支え、日常的に腕を上げる肩周辺の筋肉には、大きな負担がかかるため、肩こりが起こりやすくなります。
肩こりを起こす代表的な筋肉は、首の後ろ側にある肩甲挙筋(けんこうきょきん)、首から肩にかけてにある僧帽筋(そうぼうきん)、背中の肩甲骨付近にある菱形筋(りょうけいきん)です。
これらの筋肉は一見すると表面に並んでいるように見えますが、実は層をなしています。
そしてこの筋肉同士はそれぞれの筋肉を覆っている筋膜で繋がり、お互いが滑りあっていることで、筋肉・体はバランスよく自在に動き、また元の位置に戻ることができます。
肩こりの原因
肩こりの原因は千差万別
肩周りの筋肉の血液循環が悪くなると、栄養が行きわたらなくなったり、老廃物が排泄できなくなったりして筋肉が固くなり、肩こりとして感じます。
では、なぜ肩周りの筋肉の血流が悪くなるのでしょう?
実は、これは人によって原因は異なります。
ある人は昨日の慣れない肉体労働で筋肉が疲労しているからかもしれません。ある人は毎日のデスクワークで同じ姿勢で長時間作業をしているからかもしれません。またある人は10年前の手術によって膜組織に癒着が起こり、体が歪んでいるからかもしれません。
このように一人一人体が違うように、人によって負担になる動作、姿勢は違ってきます。
筋膜ケアが有効な「肩こり」とは
筋膜は同じ形を保っておくことが苦手です。そのため無理をして同じ姿勢を保ち続けると、筋膜が疲労し伸縮性や滑りが悪くなります。そして筋肉が自由に動くことができなくなり、筋肉の血流が悪くなる...これが肩周りの筋肉で起こると「肩がこっている」と感じます。肩に限らず、同じ姿勢が長時間続くとつらくなってくるのはこのためです。
「普段はなんともないんだけど、今日はずっと車の運転をしていたから肩がこるなあ・・・」
「今日はキッチンの換気扇の掃除をして手を挙げっぱなしだったから」
こういった、一時的な筋疲労による肩こりは筋膜ケアで改善が見込めます。この後ご紹介するセルフケアを行って、翌日・翌々日に肩こりを持ち越さないようにしましょう。
一方、過去に交通事故や手術を経験している方、日常的に同じ姿勢や繰り返しの動作が多く慢性的に年がら年中肩がこっているという方は、残念ながら筋膜のケアだけでは十分とは言えません。一時的に楽にはなっても、その場しのぎにしかならない可能性が高いです。
とはいえ、何も対処しないとひどくなる一方です。治療院に行く前に、あるいは治療院での施術と並行してセルフケアをお試しください。
自宅でできる筋膜セルフケア
多くの肩こりは、生活習慣や姿勢を改善し、筋膜セルフケアすることで、症状を軽減することができます。
ただし、肩に強い痛み、腕や手にしびれがある、肩を動かしていないのに痛む、痛みで生活に支障が出ている時は、筋膜リリースを行わず、専門家を受診してください。
筋膜リリースをするときのポイント
- 呼吸を止めない
- ゆっくりとした動作で行う
- 10~20回を1セットとし、1日3セット行う
- 無理のない範囲でできるだけ毎日行う
- 痛みが出たら体操を行わない
僧帽筋の筋膜リリース
前述の僧帽筋(そうぼうきん)は一番外側にあり、首から肩、肩甲骨周りまである大きな筋肉です。首から肩にかけて広くこっていると感じている方は、この僧帽筋とそれを包む筋膜が疲労している可能性があります。僧帽筋と筋膜をケアして肩こりを改善しましょう。
【僧帽筋の筋膜リリース】
- 左腕を後ろ(腰)にまわします
- 頭を右に傾けて、左首筋を伸ばします
- 伸ばした左首筋を右手の指全体を使って押していきます
- 1ヶ所10秒で少しずつ位置を変え、首筋・肩全体を行います
- 左右両方行いましょう
大胸筋の筋膜リリース
大胸筋は、体前方にある鎖骨・肋骨・腕をつなげる大きな筋肉です。
肩とは関係ないと思われがちですが、腕を前方に出すような前かがみの姿勢、例えばパソコン作業などを長時間続けると、この大胸筋が縮こまり伸縮しにくくなってしまいます。大胸筋が固まってしまうと両肩が閉じたような姿勢、いわゆる猫背となり、肩や首・背中の筋肉が常に引っ張られる状態となってしまい肩こりを生じさせます。
また大胸筋の柔軟性がなくなることで、つながっている肋骨の動きも制限され、さらに肋骨につながっている横隔膜も十分に機能することができなくなり、自然な呼吸の妨げとなってしまいます。横隔膜で自然な呼吸ができなくなると、肩で呼吸することとなり、それがさらに肩こりを悪化させます。
前かがみになる姿勢が長時間続いてしまったら、ぜひ大胸筋とその筋膜をケアしましょう。
【大胸筋の筋膜リリース】
- 壁の横に立ち、腕を伸ばして壁につきます
- もう一方の手の2~4指を使って、伸ばした腕の鎖骨下の大胸筋上部に押しあて、ゆっくりと押していきいます
- 左右両方行いましょう
菱形筋の筋膜リリース
前述の菱形筋(りょうけいきん)は僧帽筋の深部にあり、左右の肩甲骨を中心に寄せる動きをする筋肉です。猫背のように背中をまるめ、左右の肩甲骨を広げた姿勢を長時間続けると、この菱形筋が引っ張られ続け筋疲労を起こし、十分に機能できなくなってしまいます。そうなると僧帽筋が代わりに働くこととなり、僧帽筋に負担がかかり肩や首に痛みやこりを感じてしまいます。
また、菱形筋がきちんと伸縮できず肩甲骨が広がった状態が続くと、大胸筋が縮こまり結果呼吸が浅くなってしまいます。
他の筋肉に比べ深部にある筋肉のため、直接押すことは難しいですが、ストレッチポールを使ってしっかりケアしていきましょう。
【菱形筋の筋膜リリース】
- 床に座り、ストレッチポール(無ければタオルポールで代用)を縦におき、左の肩甲骨の内側に沿うように仰向けになります
- ヒザを立てて、両手でそれぞれ逆側の肩をつかみます
- お尻を少し上げ、上半身を左側に捻ります
- 痛気持ちいいポイントで10秒、さらに捻り角度を変えて10秒間リリースします
- 反対側も同様に行います
根本原因から解消したいなら専門家に相談
福岡みやま市のオステオパシーなお整骨院では、肩こりの根本原因へアプローチします。
オステオパシーは施術者が筋膜に触れ、動かすことで、筋膜のねじれやよじれを元に戻し、筋肉が正しく動けるように改善する治療法です。
過去の交通事故などの外傷や手術によって発生した体の癒着・歪み、食生活の不摂生からくる内臓の問題によるもの、普段の姿勢不良による骨盤の歪みなど人によってその原因は様々です。
オステオパシーの施術であなたの体の不調の原因を探し出し、肩こりの解消のお手伝いができます。思いもよらない部位や出来事がそのつらい肩こりを生み出している原因になっているかもしれません。一日でも早く、専門家へご相談することをお勧めします。
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